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2024年11月28日

△▼△ 🚗サポ室訪問記🚗 ~第8弾~ ▼△▼

不定期シリーズ企画の第8弾は池田町への訪問です。


 

【取材のお相手】

今回の取材のお相手は、元池田町地域おこし協力隊の頓所 幹成(とんどころ みきなり)さん

「サポ室訪問記第6弾vol.1」でご紹介した川瀬 千尋(かわせ ちひろ)さん(元池田町地域おこし協力隊)の取材時に、自伐型林業(経済性と環境保全を高い次元で両立する持続的森林経営のことで、参入障壁が低く、幅広い就労を実現できる形態)を広めていくために頓所さんと川瀬さんのお二人で「minotake(みのたけ)」を設立したとのお話を聞き、是非ともお話を伺おうとお邪魔しました。

〔取材に答える頓所さん〕

 

【取材場所】

今回の取材は池田町にある民泊施設「yadorigi(やどりぎ)」で行いました。

「yadorigi」は川瀬さんが2024年4月に開業した1棟貸切タイプの施設で、8人までの宿泊が可能です。

minotakeで伐採した木材を利用する薪ストーブが最大の売りですが、廃材を利用して製作したダイニングテーブルが設置されているなど、各所に木材が有効利用されています。

〔yadorigi外観(外壁沿いには薪ストーブ用の薪)〕

 

【師匠との出会い】

長野県中野市ご出身の頓所さんは高校卒業までを地元で過ごした後、東京で大学生活を送りました。

ご両親が教員ということで、「大学在学中はぼんやりした将来しか見えておらず、燃えるものがなければ教員になると思っていた。」と振り返る頓所さん。

大学3年生の時、幼少期から興味のあったサバイバル、自給自足、狩猟を卒業論文のテーマにしようと思案していた際、東京のセミナーで元池田町地域おこし協力隊かつ狩猟を生業にしている長谷 耕平さんの発表を聞く機会がありました。

 

セミナー終了後は数回にわたって池田町を訪問し、長谷さんの狩猟に同行させてもらうなど、すっかり長谷さんを師匠として仰ぐようになったそうです。

このような経験を経て、“師匠の下で人生を設計して、やりたいことをやりたい”と思うようになり、師匠から教えてもらった地域おこし協力隊に応募して、大学卒業後の2020年4月、協力隊として池田町に移住しました。

「師匠の弟子になりたかったので、池田町以外の選択肢はありませんでした!」と当時を振り返る頓所さんに、師弟の絆の深さを垣間見た気がしました。

〔頓所さんとyadorigi内の薪ストーブ〕

 

【協力隊としての活動、そして第2の出会い】

隊員としての活動内容は、いわゆるフリーミッションだったことから、エゾシカの資源利用を推進するため、箱罠の設置や捕獲鳥獣の回収を行っていました。

当初は農業を任期終了後の軸に考えながら、1年目はエゾシカの狩猟への同行や解体のノウハウ、皮の有効利用など、様々なスキルの習得に費やしていたところ、頓所さんに第2の出会いが訪れます。

 

それが、地域おこし協力隊として、2020年7月に池田町に移住してきた川瀬さんとの出会いでした。

川瀬さんが協力隊として着任してから林業に携わるようになり、2年目は林業と狩猟のお試し期間(林業は道付けや間伐などの山林管理)、3年目には独立に向けた事業展開(ツリークライミングの技術・特殊伐採)を進めました。

〔エゾシカ処理中の頓所さん〕

 

【「とりあえずの3年間」→定住へ】

協力隊になる時は、家族や友人に「とりあえず3年間、池田町に行ってくる!」とだけ伝えていた頓所さん。

制度上の都合などで自分のやりたいようにできないこともあったものの、担当職員が親身に相談に乗ってくれたお陰でミスマッチは全くなく、2年目には『やりたいことを続けられて安定するなら定住してもいいかも』と考え始め、3年目に伐採をスタートして収入を確保できるようになったため『池田町に定住しよう!』と決めました。

 

「仲間に出会えたことが何よりの喜び!」と語る頓所さんにとって、「とりあえずの3年間」から定住への気持ちの移り変わりは、もしかしたら収入の確保だけではなかったのかもしれません。

〔伐採作業中の頓所さん〕

 

【任期終了後の活動】

任期終了後は狩猟、伐採、森林管理の3つを柱に生計を立てています。

また、隊員の任期2年目に始めたTanDecor(タンデコール:tan〔動物の皮をなめすことをtanning〕+décor〔装飾品〕)はエゾシカを知ってもらうための取組で、【長く大切に使いたくなる一点もの】をテーマに財布や名刺入れなどを製作しています。

〔TanDecorの製品を手にする頓所さん〕

 

今後は「minitake(みのたけ)」を法人化して新規事業に取り組む一方、エゾシカの年間捕獲頭数の目標(100頭)も達成したいと意気込みます。

一方で、池田高校の生徒が職場インターンで持参する際の鹿革名刺ケース作りの講師に呼ばれたり、元池田町地域おこし協力隊の福家 菜緖(ふけ なお)さんが主催する、池田小学校の全学年を対象にした森で学ぶ授業のサポートを行うなど、若い世代との交流も活発に行っています。

 

任期終了後だからこそ収入の確保に苦労することもありますが、師匠の長谷さんと仕事・遊びに関係なく、独立した個人同士として関わりながら変わらない日常を感じる、そんな最高の瞬間を今日も池田町で送っています。

 

【参考:yadorigi写真】

〔yadorigiの玄関にある廃材利用の看板〕

 

〔廃材を利用した調度品のあるyadorigiのダイニングキッチン〕